2026年3月期も赤字計上となり、6期にわたり営業赤字が続いていることを、改めて深くお詫び申しあげます。期中売上につながる第1四半期の新築戸建契約が期初計画を大きく下回ったことに加え、2025年4月の建築基準法改正に伴う建築確認申請の長期化により、納品・引渡売上が想定以上に遅れたことが主な要因です。上期・下期ともにそれぞれ約1カ月分の売上が後ろ倒しとなり、年間で実質10カ月分程度の水準にとどまりました。
受注面は、特建事業(BtoB)が堅調に推移し、また新築戸建契約も第2四半期以降は復調したことで、期末の契約残高は前期比125%まで積み上がりました。地政学リスクや為替・資材価格、米国の関税政策など、外部環境には不確定要素がありますが、黒字化に向けた基盤は整いつつあると捉えています。
新築戸建事業の黒字化を射程圏に捉えつつあるものの、強い収益体質とはいまだ言えません。コロナ禍による集客減、ウッドショックによる原価高騰が、契約棟数減少・利益率低下を招き、FC展開で拡大してきた拠点数が減少しました。その結果、FC比率が低下し、固定費を抱える直営比率が高まり、収益構造が大きく変わりました。
この収益構造の変化に正面から向き合い、同時に将来の人口減少・住宅市場の縮小を見据えて、今というタイミングで、新中期経営計画「Make Market 2030」を始動します。「既存事業の立て直し」と「新規事業の育成」の相乗効果により収益体質を高めることで、多少の環境変化があっても揺らがないレジリエントな企業を目指します。
当社は「家は道具」をコンセプトに、「ログハウスで暮らす」という、それまで世の中になかった市場の立ち上げを1986年より始めました。ログハウスは別荘や趣味性の強い建物として見られることが多く、日常の住まい、自宅として暮らすイメージのなかった時代、既存の住宅市場の中でシェアを競うのではなく、人間にとって、こんな暮らしはどうかと問いかけながら、自らの感性を具体的な暮らしへ昇華させる提案を続けてきました。そうした新たな価値への共感を広げてきたことが、BESSのMake Marketの原点であり、BESSの歴史そのものなのです。
BESSの単独展示場であるLOGWAYには、「家を建てるつもりはなかった」「たまたま通りかかった」という方がふらりと立ち寄り、世界観に惹かれ、時間をかけてファンになり、やがてユーザーへと至ることが多々あります。これはBESSの大きな強みです。まだ住宅を検討していない人、BESSを知らない人、自分には関係がないと思っている人たちと、いかに出会い、好きになっていただくかが重要です。新規来場者数を重要な先行指標としていたのは、BESSとBESSファンの出会いの装置が主にLOGWAYだったからです。これからは、雑誌やSNSをきっかけにLOGWAYに足を運んでいただくだけでなく、ひとりの人が人生の中でBESSと何度も接触し、何度も商品やサービスを選んでくれる状態をつくることが大切だと考えています。それは、旅先で泊まった建物、地域の風景の中で見かけたBESS、賃貸での暮らし体験、日常で手にした物販商品…、そうした接点の広がりこそが、BESSらしいブランドビジネスの広がりです。
新築戸建事業の周辺には、新たな市場創造のポテンシャルが数多くあります。ここでいう市場創造は、BESSのブランド価値の広がりによるものであり、新築戸建事業から離れた無秩序なものではありません。重要なのは、手掛けていく新規事業が将来的に新築戸建事業へ返ってくるかどうかです。例えば、BESSの中古住宅を販売・仲介する「歳時住宅」は、二次流通の仕組みづくりです。1件あたりの仲介手数料だけを見れば大きな収益ではありません。それでも、将来住み替えたい、売却したい、使わなくなった別荘を有効活用したいというユーザーに対し、BESSがしっかりと次のユーザーへつなぐ仕組みを提供していることは安心材料になります。こうした安心感が、最初にBESSを選ぶ時の背中を押す要素になるのであれば、そこには十分な意味があります。
人員が限られている中で、それぞれの取り組みがバラバラに収益を追うのではなく、やがて中核事業へ還元される、相乗効果を期待できる取り組みを選ぶ必要があります。全く関係のない領域ではなく、今のBESSのすぐ隣にあるもの、今とは少し違うけれど、将来のファンやユーザーを生み出し得るもの。そうした装置をあちこちに作っていく、それが第2創業期の局面にあって、将来のレジリエントなブランドビジネスにつながる「Make Market」の考え方です。
中期経営計画では、2030年3月期に連結営業利益10億円の創出を目指しています。その実現に向けた主な方策は3つあります。
1つ目は、「都市部・高価格帯の市場開拓」に伴う単価アップによる既存事業の収益改善です。直営比率が高まる中で、大都市圏の直営拠点を中心に、既存商品とは異なるポジション・価格帯の新商品を投入します。従来のBESSは、郊外で土地を探し、自然に近い場所でのびのび暮らすイメージが強くありました。しかし、都市部寄りの生活を諦めたくないけれどBESSが好き、という方もいます。そうした方に対し、「いつかはBESS」ではなく「今すぐBESS」を提案できるよう、都市部の宅地にも対応しやすい新商品を用意し、新たなマーケットの開拓を進めます。現役世代のうちは都市部に近い場所でBESSに暮らし、将来リタイアした後には郊外や自然の近くでログハウスに住む。そうした人生の中で2回BESSを選ぶ可能性も拓く施策です。市場が縮小していく中では、顧客との接点を一度きりにしないこと、ライフステージに応じてBESSとの関係を継続してもらうことが大切であり、収益改善、ブランド価値のさらなる向上に加え、新規機会獲得の効果も狙います。
2つ目は、「新規拠点開拓によるFC事業収益の強化」です。ホームナビゲーター(営業員)1人あたりの営業効率は高まっているものの、全体人数を十分に増やしきれない中で、受注棟数増を実現するには、従来とは異なるプレイヤーを増やす必要があります。そこで、既存販社が運営するLOGWAYをハブ拠点に、空白エリアにある工務店などを特約店として紐づける特約店制度の導入を検討しています。新規市場開拓とFC事業の収益改善に加え、営業・施工ネットワークの拡大により、移住・リゾート等の需要の受け皿を広げることにもつながると考えています。
3つ目は、先ほども触れた「周辺事業の市場創出」です。BtoB、BtoG、宿泊、賃貸、物販など、BESSとのタッチポイントを拡大し、将来の新築戸建ユーザー層を広げる取り組みです。このうち、これまで特建事業として進めてきたBtoB事業は、この春より「BESS ARCHITECTS(アーキテクツ)」として呼称を新たに展開していくこととしました。企画・規格モデルの強みを活かし、リゾート施設開発のパッケージ商品や賃貸集合住宅の長屋型プロトタイプなどの提案を通じて推進していきます。設計・技術面の対応力強化に加え、土地活用や法人向け提案に強い人材の獲得も進めながら、スピード感を持って事業を拡大していきます。
また、大きな可能性を感じている自治体連携「LV(Local Vitalization)プロジェクト」の収益化も目指します。足元では、「梺ぐらし」をはじめとする宅地企画の提携に加え、公園施設の有効活用、地域産材や森林資源の活用、移住・定住の促進、人流創出などに向けた取り組みが進んでおり、新たに愛知県豊田市との提携も始まりました。
旭化成ホームズ株式会社との資本業務提携による事業強化も人的交流などを通じて始まっています。業界最大手の一角を担う強固なブランドと顧客基盤を持つ同社の事業ノウハウ、情報ネットワーク等と、当社が持つ独自の世界観と商品特性を活かした共同研究・共同開発による新たな市場価値の創出を通じて、BESS事業再成長のスピードアップを目指します。
2027年3月期は前期の反省を踏まえ、第1四半期の立ち上がりに向けた準備を前倒しで進めてきました。4月を終えた段階で、受注は計画に沿った滑り出しとなっています。期首の契約残高の積み上がりとあわせ、通期の売上増を見込んでおり、着実に黒字化へ近づけていきます。
今回の中計で定めた目標、営業利益10億円は、社長就任時より掲げてきた水準です。BESSの存在意義は、「人間へBESS」にあります。これからの時代にこそ、人間らしい大らかな暮らしを提案するBESSのポテンシャルは大きいと自負しております。だからこそ、もう一度「市場をつくる会社」としての姿勢に立ち返り、BESSらしい新たな価値創造に取り組みながら、黒字化、復配、企業価値向上へと着実に歩みを進めてまいります。引き続きご支援のほど、よろしくお願い申しあげます。
| ■方針 | 収益体質強化により レジリエンスを高める |
| ■ビジョン | 新たな市場創造に挑戦し、既存事業の収益性向上と、 新規事業育成による相乗効果で、 BESSブランドの真価を発揮する |
| ■目標数値 | 営業利益10億円 |
施策![]() |
| 都市部高価格帯の市場開拓 |
単価UP・収益改善 |
独自の暮らし提案を強みとするBESSで、大都市圏の直営拠点を中心に、既存商品とは異なるエリア、価格帯での新たなマーケットを開拓。
既存事業における収益性の改善とともに、既存商品を含むブランド価値向上や新規顧客獲得などの波及効果を狙う。
施策![]() |
| 新規拠点開拓 |
FC事業収益の強化 |
BESSは単独展示場(LOGWAY)での世界観表現と暮らし体感が強み。全国に展開する既存拠点を活かして、そこに紐づく衛星拠点のような特約店制度の仕組みを導入することで、空白エリアでの新規市場開拓とFC事業収益改善を図り、既存事業の強化に繋げる。また、営業・施工ネットワークを拡大することで、移住・リゾート等の需要の受け皿も広げる。
施策![]() |
| 周辺事業の市場創造 |
事業収益+相乗効果 |
各事業収益の獲得に加え、BESSへのタッチポイントを増やすことによる新たなBESSファンづくりの仕組みに発展させて、新築戸建事業への相乗効果をもたらす。
| 旭化成ホームズ(株)業務提携による事業強化 |
2026年の様々な取り組み、
活動を紹介します。
「LOG is YOU」プロモーションムービー
TOPICS 1
BESS創業40周年
BESSは2026年3月に40周年を迎えました。ログハウスを中心に、自然材に囲まれた大らかな暮らしを提供し続けています。この春夏も、BESSのベースにあるLOGの暮らしや価値観を中心にプロモーションを展開します。
全国の展示場LOGWAYでは、LOGの暮らしを五感で体験できるイベント「LIFE LOG CULTURE FAIR」を開催。薪割りや焚き火、DIYワークショップなど、情報だけでは伝わらない"暮らしの魅力"を体感していただいています。商品面では、本格ログでありながら軽やかな暮らしを実現できる、BESSの平小屋「栖ログ」の新モデル「L65」を発売。遊びごころある小屋裏や、広々としたモクドマリビングが加わり、コンパクトでありながらもゆったりとした空間が広がります。
これからもBESSは、LOGを軸にファンづくりを進めてまいります。
全国のLOGWAYで暮らし体験イベントを実施
栖ログ外観
BESSリゾートパッケージによる施工イメージ
TOPICS 2
法人向け事業を
2026年4月、法人向け事業(特建事業部)を「BESS ARCHITECTS(アーキテクツ)」へリニューアルしました。これにより、BESSのデザイン性・世界観・供給体制などのブランド資産を非住宅分野へ本格展開します。
建設費高騰が続く中、自由設計では工期・コストが膨らみやすいという課題に対し、4タイプ・34モデルの規格木造住宅を軸に、セレクト・カスタム・フリー設計およびプロデュースの4メニューを提供。工期は最短5ヶ月、建設費は坪90万円からと、事業者の開業を工期・コスト・品質・差別化の面で支援します。また、累計22,000棟以上の建築実績に基づく維持管理ノウハウにより、建てた後の資産価値の維持にも貢献します。
同時に「BESSリゾートパッケージ」の販売も開始しました。企画から竣工まで一般的に2年以上かかるリゾート施設の開業を、最短1年・1億円から実現するパッケージで、競合優位性の高い木造施設づくりを後押しします。2022年の特建事業部立ち上げ以降、インバウンド需要が引き続き拡大していることもあり、リゾート領域の受注高は約3倍に拡大。今後もBESSならではのデザイン性や世界観を活かした非住宅木造建築の普及に取り組んでいきます。
パッケージには管理棟1棟・宿泊棟3棟・
賃貸住宅 協働プロジェクトイメージ
TOPICS 3
旭化成不動産レジデンス株式会社と
2025年10月以降進めている旭化成ホームズ株式会社との事業連携の一環で、この度2026年5月より、旭化成不動産レジデンス株式会社との協働プロジェクトを開始しました。
BESSでは、2025年10月より賃貸向け集合住宅を販売しており、「火を使う」「菜園を耕す」「DIYをする」など、通常の賃貸住宅では体験できない〈「住む」より「楽しむ」〉暮らしの提供を目指しています。嗜好性の近い住人同士が集まり、つながるコミュニティを形成できる点が、他にはない付加価値となります。
旭化成不動産レジデンスは、ペット共生型、子育て共感賃貸住宅など多様なライフスタイルに寄り添う賃貸管理で豊富な実績を持ち、BESS賃貸のコンセプト実装から入居者募集、日常管理に至るまで、質の高い安定的な運営が可能であると判断しました。
両社の強みを掛け合わせることで、市場差別化が可能な新たな付加価値賃貸住宅の提供を目指してまいります。
BESSの賃貸向け木造集合住宅
(右より)豊田市長 太田稔彦様、
2026年3月、愛知県豊田市と「山村振興・移住定住促進及び地域活性化に向けた連携協定」を締結しました。BESSはこれまで宅地開発事業「FuMoTo」や「山とつながるプロジェクト」を通じて地域活性化や国産材の活用に取り組んできており、豊田市においても協力体制を築いてきました。豊田市は市域の約7割が森林を占め、農林業が盛んですが、その山村地域では人口減少・高齢化・担い手不足が深刻化しています。本協定をもとに、イベント開催・宅地供給・住環境づくりなど幅広い分野で連携することで、豊田市における山村地域の暮らしブランディングと移住定住促進を行い、官民連携モデルとして確立することを目指します。
「山とつながるプロジェクト」では、大径材の