2026年3月期の上半期は、売上高は前期比微増、損失幅を縮小しての着地となりました。ただし、上半期収益は計画通りながら、通期予想を修正することとなり、大変申し訳なく思っています。
前期第4四半期の契約好調による反動で第1四半期の契約を大きく落としたことに加え、2025年4月の建築基準法改正に伴う建築確認申請長期化の影響で着工や部材納品が想定以上に遅延していることで、売上高を下方修正しました。また、新築戸建事業における原価率の高い期間限定商品などの受注割合の増加に加え、体制強化・商品開発・拠点直営化による販管費などの先行投資を実施することから、損失計上へ修正しています。
ただ、7月以降、新商品「風のログ」と程々の家シリーズ特別モデル「晴七色(はれなないろ)」の発売により、リピート来場数が増加、受注も順調に回復し、第2四半期は4年ぶりの高水準となる新築戸建の受注高が積み上がる結果となりました。担当営業(ホームナビゲーター)1人当たりの集客や契約棟数はコロナ禍前の水準に回復するなど、課題にしっかりと対策を打てた半期になったと捉えています。11月には、一次取得層向けのマーケティングを意識しながら、主力の定番商品であるワンダーデバイスの新仕様「ブラックモード」を発売しており、新築戸建事業はよい流れをとぎれさせることなく回復の途につくものとみています。
特建事業では、賃貸市場向けにワンダーデバイスを長屋式に連棟できる当社初の賃貸集合住宅プロトタイプ商品を9月に発表しました。差別化を求める賃貸経営オーナー向けの提案による市場開拓を目論み、既に複数の商談が進んでいます。また、リゾートを中心にリピート案件も生まれ始めており、設計・技術などの対応力強化とともに、BtoB事業のブランド化を進めながら、ビジネスの型を確立させていきたいと考えています。
上期末の契約残高は前期上期末比120%と伸長しています。直近では1.5回転に近い売上回転まで回復していたので、来期に向けて順調に契約を積み増し、売上回転率を高めてまいります。
社長就任以来、言い続けていることの1つに「さらなるスピードアップ」があります。この上期に発売した2つの特別モデルは、短い開発期間も、期中投入というタイミングもこれまでにない取り組みでした。営業現場を活気づけ、市場を活性化させる狙いで準備しましたが、結果、第2四半期の契約巻き返しに寄与することができました。新商品開発においては、普段からたくさんのアイデアを貯めておき、企画開発の時間を短縮できればと考えています。
もう1つ意識したいのは商品成果の評価・改善のスピードアップです。BESSの新商品は企画・発売後、半年から1年ほど経って全国展示場(LOGWAY)で実物が見られようになるとようやく受注棟数が少しずつ増えていくというのが通常の流れですが、このサイクルを早める取り組みに着手します。発売商品の評価がわからない中で、次の新商品に着手するのではなく、3カ月という時間軸で現場の評判や手応えをリアルタイムで吸い上げ、改善して商品に反映させれば、1年後の結果はまったく異なるものになると考えています。既存商品の改善例の1つが平屋造りの「栖(すみか)ログ」のリニューアルです。現場の評価を反映して、ロフトに上がる手段を梯子から階段にしたモデルをラインアップに追加したところ、一気に成約率が改善しました。また、今期投入した特別モデルも、従来のBESS商品が持つ遊び心に加えて、室内でも楽しめるプランや、より気軽さを持ち合わせたスタイルを提案することで、好反応を得ています。
BESSは「人間にとって、こんな暮らしどう?」という提案を商品という形にしてきました。「マーケットインでなく、プロダクトアウトだ」と言い続けてきた中で、勘違いしてはならないのは、市場のニーズを無視して自己満足に陥ってはいけないということです。本来、プロダクトアウトは、無いものを生み出すことだけではなく、浸透していないものを広げる、難易度の高いものを形にするという意味も含まれます。既に市場形成されているものを後追いするのでもなく、現場の評価や顧客のニーズにしっかり応えて選ばれる商品に仕立て直すことは、プロダクトアウトにおける大いに有効な手段であり、そういう意味でも定番を含めた既存商品も活かして、実際に「暮らす人」に届く、新たな商品を創造していくことに努めていきます。
従前、外部との資本提携などを通じて、BESS応援団のような株主がいる状況を目指したいと創業者・二木元会長と話をしていましたが、今般、BESSの将来を見据えて仲介くださった方があり、旭化成ホームズ株式会社との資本業務提携につながりました。業界最大手の一社であり、強固なブランドを持つ同社との提携においては、異なる顧客基盤や商品特徴など、互いにないものを持つ同士だからこそ、きっと新たな付加価値を生み出せるはずです。
例えば、賃貸住宅のビジネスモデルの確立において、シナジーを発揮できるものと期待しています。賃貸への居住から「いつかはBESS」という気持ちが醸成されるBESSファン育成装置としての仕掛けという意味でも、賃貸住宅をしっかり事業化していきたいと考えています。新築戸建についても、これまで届いていなかった層にリーチし、BESSメニューによる田舎暮らしや別荘需要に応えていくことなども検討していきます。
また、自治体との提携も広がりを見せています。既に連携協定を締結済の長野県小諸市では新たな「梺ぐらし」用地開発事業が進行中です。今年6月に三者で連携協定を締結した神戸市・神戸市公園緑化協会とは「自然と共生する新たな暮らし方」を実現するため、公園・緑地などの有効活用を推進していきます。9月には大分県日田市と「次世代の山づくりと地方創生に向けた水郷日田の木材利用促進協定」を結び、日田産材の活用を軸に、森林資源活用による地域の活性化、移住・定住の促進や人流の創出などを進めていきます。こうした各自治体との連携により、それぞれの特徴を活かした新しい付加価値の創造・事業化を目指します。
BESS事業が2026年3月に40周年を迎えることを記念して、「BESS40祭(よんじゅっさい)」と銘打ったフェアを1年半というロングランで開催します。ワンダーデバイスの新仕様ブラックモードを皮切りに、スピーディな新商品開発や既存商品のアップデートを継続していきます。
前期来実施してきた社内横断プロジェクトを通じて、若い世代が積極的に参加し、自由な発想をぶつけ合う場がつくられたことで、従来とは異なる視点や気づきを数多く得ることができました。従来のBESSらしさに拘って狭まっていた視野が広がり、BESSが本来大切にしてきた「人間らしい大らかな暮らしの提案」という原点をベースにしながら、どんどん新しい挑戦をするマインドへと、商品開発面のみならず社員全体の意識が確実に進化してきているとの感触を得ています。より広い寛容の意志を持って、多様な暮らし方に寄り添う、新商品やリニューアルを通じた「暮らし方提案」に取り組んでいきますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
何より長期にわたり、営業赤字と無配が続いていることにお詫び申しあげます。流れを重視して見ている中で、それ自体は決して悪くない状況にあると捉えていますが、もう少しスピードアップし、結果につなげていく時期にあるとの認識も強くしています。
今後もMake Marketに向けて、新しい企画を続けざまに発表しながら、流れを止めることなく、業績も確実に押し上げていきますので、引き続きご支援のほどよろしくお願い申しあげます。
BESSは、2026年3月にブランド創設40周年を迎えます。この節目を記念して2025年10月より、全国の単独展示場LOGWAYでフェア「BESS40祭」を開催。
40年間の感謝と、これからも本質的な暮らしを追求し続けるという思いを込めて、40周年ならではの企画を展開しています。
1986年にログハウスブランド「ビッグフット」として事業を開始し、2008年に「BESS」へ改称。「家は道具」のコンセプトのもと、ログハウスから個性的な木の家へと商品ラインナップを拡充し、自然体でおおらかな暮らしを発信してまいりました。現在は、全国で22,000組を超えるお客様にBESSの暮らしを楽しんでいただいています。
別荘という遊びの拠点として1棟のログハウスを建てたことがきっかけで始まったBESS事業。時代の変化を経ても、BESSの核には常に“遊びごころ”があります。
「BESS40祭」のテーマは「こころ遊ぶほうへ」。より多くの方に自然体でおおらかな暮らしを楽しんでいただけるよう、特別モデルや新仕様などの商品提案を強化していきます。
「風のログ」は、BESSの遊びごころに、現代に合わせた生活動線の合理性を取り入れてアップデートした特別モデルです。間取りで居場所を固定しないので、家族の過ごす場所が自然と暮らしの中心になります。風は自然で、気のまま、ありのまま。そんなふうにこころが弾む家を、BESSらしくログでつくりました。
程々の家シリーズの落ち着きはそのままに、軽やかさ・若々しさを取り入れた、住み手の個性で住みこなしやすい室内空間を実現しました。程々の家「晴七色」は、日本らしさを大切にしながら、肩の力を抜いて、自然体で暮らせる家です。
クールな外観と木の温かみを感じられる室内の組み合わせが特徴のワンダーデバイスに新仕様「BLACK MODE」が登場しました。
内外装をブラック基調にカスタマイズすることで、明るいワンダーデバイスがシックな雰囲気のコーディネートに変身。次の世代に向けた新たな住空間の選択肢を提案します。
新たな商品提案のほかにも、BESSユーザーの皆様に参加していただくフォトコンテストや、全国の展示場LOGWAYでの新しい暮らし体感メニューなどの企画を順次実施し、BESSファンの輪をさらに広げていきます。今後はWEBマーケティングをさらに強化し、より多くの方とBESSの接点をつくることで、新規顧客層の拡大を図り、ブランド価値のさらなる向上を目指してまいります。
2025年の様々な取り組み、
活動を紹介します。
(左より)神戸市公園緑化協会理事長 鍵本敦様、当社代表取締役社長 壽松木康晴、神戸市建設局長 小松恵一様
TOPICS 1
神戸市、大分県日田市と連携協定を締結
2025年6月、神戸市・公益財団法人 神戸市公園緑化協会と三者で「自然と共生する新たな暮らし方」を推進する連携協定を締結しました。神戸市の公園・緑地における伐採木の活用や市民参加型イベントの実施など、自然と共にある暮らし・持続可能な社会の実現に向けた取組みを展開していきます。
続いて10月には大分県日田市と「次世代の山づくりと地方創生に向けた水郷日田の木材利用促進協定」を締結。BESSでは、2007年より約18年間、日田地域の木材を活用してきましたが、今後さらなる日田産材の活用、木材の価値向上、移住・定住の促進などを通じ、日田市の活性化に寄与していきます。
このように、BESSでは地方行政との連携を広げています。これまでログハウスや自然寄りの暮らしを中心に展開してきたBESSならではの提案により、地域の課題解決や活性化などの社会貢献を目指します。
日田市長 椋野美智子様(右)と当社代表 壽松木
「ワンダーデバイス」デザイン外観イメージ
TOPICS 2
BESS初の賃貸向け集合住宅を新発売
2025年10月1日、BESS初の賃貸向け集合住宅商品として、テラスハウス型の木造集合住宅を発売しました。2026年3月末まで限定5棟のモニターを募集しています。
人気No.1シリーズ「ワンダーデバイス」のデザインを採用し、遊び心あふれる住空間が特徴。天然の無垢材に囲まれた大空間、外とつながるデッキ・ベランダ、土間・吹き抜け・ロフトなど、BESSらしい"わくわく"仕様を標準装備しています。賃貸住宅でも、他と差別化されたデザイン・暮らしの楽しさを実現するモデルです。
BESSの木の家は、年月をかけて使い込むことで味わいが増す、DIYなど気軽に手をかけられるという特徴があります。賃貸においても、「木の味わいを住み継ぐ」、「手をかけながら楽しむ」という新たな暮らし方を提案し、市場を開拓してまいります。
遊びごころあふれる賃貸暮らしを提案
BESS札幌 宿泊棟
TOPICS 3
LOGWAY BESS札幌・木更津で
BESSは、わづくる株式会社が運用する別荘サブスクサービス「OURoom(アワールーム)」との提携事業を拡大し、一部の単独展示場LOGWAY内のモデル棟を宿泊施設として運用開始しました。2025年11月以降、BESS札幌およびBESS木更津の各1棟で順次宿泊受け入れを開始しています。
本取り組みにより、LOGWAYを“暮らしを体感する場”に留まらない、“泊まって体験を深める場”へと進化させます。BESSの家での宿泊機会の提供を通して、ブランド理解の促進と新たな顧客層へのアプローチを目指します。現在全国32ヵ所に展開するLOGWAYにおいて、今後は宿泊対象となる展示場・棟数の拡大も検討しており、既存展示場の有効活用と新たな価値創出の両立を図ってまいります。
BESS木更津 宿泊棟
BESSの暮らしをイメージして演出された宿泊棟内の様子